自己診断テストを、
サイトに導入することで得られるメリット
このサイトでは何度もお話ししていることですが、
イエス・ノー式の診断チャートなど自己診断コンテンツは、
サイトへのユーザー導入に有効なツールです。
サイトを訪問したもののそのまま離れていく「直帰率」を避け、
PV(ページヴュー)数をあげるために役立ちます。
また、自社サービスへの紐づけができるので、
ユーザーに閲覧を促したいページへと誘導できます。
また、診断結果から自社サイトにアクセスしてくるユーザーの
傾向をつかむこともできると思います。
よくある誤解 占いとの混同
ところが、こういったコンテンツを導入したいと考えた
担当の方が、上司に説明したところ、
「自己診断とか心理テストとか、そういうのは
占いみたいなものでしょ」という一言で片づけられたという
話を聞いたことがあります。
これは日本人、とくに中年以降の会社員の方など
男性によく見受けられる傾向なのですが、
「占いみたいなものでしょ」と並んで、
人の心を扱う内容に関して、よくわからないものについて
「宗教みたいなものでしょ」という反応もありますね。
通常、そういう話で終わる方とのお仕事は
成り立ちませんので、それ以上のことは
わざわざ説明するまでもないのですが、
ここでは、ちょっと説明しておきますね。
人間とは何かを理解するうえで
深い洞察を与えてくれる性格類型論
まず、自己診断コンテンツについて、
筆者がベースにしているのは、性格の類型論です。
性格類型論の一つです。
性格類型論とは個人の気質や性格のみならず
トータルな人間性を、いくつかのタイプとして
とらえて、カテゴライズして理解しようとする
試みと言えます。
平ったくいえば、「ああいう人いるよね」
「自分はこういうタイプなんだよね」というふうに
とらえられるもの。
しかし、私たちの心というのは、自分では
自覚できない面、無意識の面などもあります。
どういった面も含めてどこまで深く人間に
ついての洞察が得られるか。
類型として描き出された人間像は、その無意識の
深層にまで焦点を当てていくので、
人間についてのとらえ方が非常に深いものになっています。
その類型論のよって立つところには、
古代から受け継がれてきた哲学・思想・宗教的な教えなども
あります。
そこで「宗教アレルギー」の人などは、
「やっぱり、宗教っぽいものが入っているのか」という人が
たまにいらっしゃるのですが、
人間とはもとより、宗教性というものをその精神の
内に宿しているわけですよ。
なぜ生きているのかとか、コロナへの恐れから
妖怪のお守りの絵を飾るなどの、宗教性に根差す
所からきているのではないですか?
自分の限界を超えたものに対して思いをはせるところには
人の心が持つ宗教性というものがあります。
自分は宗教や占いなど信じないと言っている人が、
疑似科学的なものをまるで「宗教のように」
信奉してしまっていることもあるでしょう。
話を元に戻しましょう。
人をタイプに分類する試みは
古代ギリシャの時代から
古代から人間とは何かということについて考えたとき、
人をいくつかのタイプに分類してとらえるという
見方がありました。
古くは古代ギリシャのヒポクラテスやガレノスの
時代から、気質をいくつかのタイプに分類する
という分類法がありました。
近代では心理学の教科書に載っているのを
目にしたことがおありかと思いますが、
医学者クレッチマーの三類型や、
シェルドンの三類型などがあります。
精神分析家のC.G.ユングの類型論はよく知られています。
外向性・内向性という心的エネルギーの向きと
思考、感情、感覚、直感という4つの精神機能の組み合わせで
8つのタイプになりますね。
また、ユングの類型論をもとにし、発展させた
MBTI(Myers・Briggs Type Indicator、マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標)
というのもあります。
MBTIは著作権上の問題があって、誰でもがこれを
応用することはできません。
筆者が主に用いている類型論はエニアグラムという性格類型論です。
ご存知の方もあるかもしれませんが、エニアグラムはMBTIとちがって
オープンソースです。
オープンソースであるということの意味は、誰でもそれを用いて
また発展させることもできるということですが、
それにはメリットとデメリットがあります。
筆者は1990年代後半から、アメリカのエニアグラム研究所の
(故)ドン・リチャード・リソ、ラス・ハドソンの2人の師から直接
学ンできたことをもとに、独自の研究を進めています。
メリットというのは、オープンソースなので独自の研究ができ、
使用法も独自の方法を経験によって積んでいけるところにあります。
デメリットは、エニアグラムは9つのタイプに分類するのですが、
その分類がそもそもの類型の定義から外れてしまうこともありうる
ということです。
エニアグラムで有名人のタイプ分けなどをしているサイトのなかには
もうほとんど何がなんだかよくわからない感じになってしまって
いるところも見受けられます。
これは筆者がそう思うだけではなく、アメリカの指導者のなかでも
慎重に処すべき点であるという議論はなされているのです。
筆者が主催しているエニアグラムアソシエイツのサイトに
類型論の大まかな系譜について書きました。
よかったらご覧ください。
エニアグラムアソシエイツのサイトにリンクしています。
性格の類型について-人をタイプに分ける試みは古代ギリシャの時代から-類型論の系譜を簡単に眺めてみる
https://enneagramassociates.com/archive/entry-a0205.html
心理学の専門家にとって、類型論というのは
エビデンスが得られないというところから、科学的ではない
ということで否定的な見方がされることがよくあります。
性格心理学の専門家が用いているのは、類型論ではなく
性格の特性論になります。
特性論にもユングの理論の影響なども見られますが、
類型としてみるのではなく、因子としてみるわけですね。
現代ではビッグファイブという特性論が主流のようです。
性格の主要因子を抜き出して、質問紙法の回答から、
統計データで調べていくのですが、こういった特性論は
採用試験などでは有効かもしれませんが、
筆者が制作しているような診断コンテンツにはあまり
ふさわしくないと思っています。
その理由についてはまた機会があればどこかでお話しします。
占いと自己診断の違いについては、詳しく触れておきたいので
この次にお話しします。