2024年を振り返り、2025年に向けて
昨年2024年は、AI技術の目覚ましい発展と普及の年でした。私自身もいろいろなことを試しましたが、AIが文章作成、イラスト制作、動画編集、音楽制作など、これまでクリエイターの領域とされてきた分野に次々と進出していく様子を目の当たりにしました。
じっさいに、試しても見ました。Chatgptは仕事上欠かせませんし、SNSでの発信には、Midjournyでイラストを生成し、Sunoで自分のお気に入りの曲を作る。Canvaで編集して、オリジナル曲入りのショート動画を作るといったところまでは、簡単にできます。
AI時代に求められるクオリティ
AIで作られたコンテンツは手軽で安価ですが、陳腐化のスピードが非常に速いのもまた事実です。例えば、AI生成画像の典型的な例として、頭から宇宙空間が広がるようなデザインがありますが、今では多くの場所で見かけるため新鮮さを失いつつあります。
ナレーション付きの動画などは、漢字の読み間違いなども目立ちます。明らかに、先行者利益を狙った量産動画だということが一目でわかります。
AI時代の診断コンテンツの未来
AIを活用すれば、心理テストや診断コンテンツの制作においても、以前は具体的な案を出すまでにかかっていた時間が大幅に短縮できるようになりました。思考の整理が早くできるようになったと実感しています。
しかし、とりわけ人の心理、性格、好み、価値観、悩み、診断結果に紐づける内容やアドバイスには、AIの限界があります。人の心は複雑です。同じ内容でも表現の仕方、用いる言葉の一つ、一つに意味があるだけでなく、ニュアンスがあります。
また、診断コンテンツをAIで最後まで作ってしまえそうだということになっても、そのジャンルに詳しい人間がきちんと目を通し、その内容に誤りや違和感がないかなど、確認できなければ、AIに任せきるのは安全とは言えません。
AIは膨大な情報を素早く処理し、効率的にアウトプットを生成する力を持っている一方、その限界も明確ですね。とくに権威性や専門性が求められる分野では、AIが生成したデータを精査せずに用いることの危険性もあります。
たとえば、ハルシネーションという現象があります。ハルシネーションとは、AIがあたかも正確に見える情報を生成しながら、実際には誤りであったり、架空の内容を含むアウトプットを出してしまう現象のことを指します。
ショート動画を試してみようと、古代の歴史を調べていた時、筆者もうっかり、これにひっかかりそうになったことがあります。いかにも史実であるかのごとき内容が、こちらの問いかけに応じる形で提示されたものの、じつはそれは史実にはなく、AIによって作り出されたものであったことがわかりました。
筆者自身が詳しい領域についても、性格のタイプについての分類などでAIに答えを求めると、やはりそのままでは使えない、手直ししなければならない部分がでてきます。誤りもあります。
それを専門的に研究していない人が扱う場合、どこがどう誤っているのか、事実と違うのかが判別できない場合があります。
古代の歴史に関して、私自身が誤りに気付いたのも、その分野についてはある程度詳しい知識があったからです。そうでなければ、誤った情報を鵜呑みにしてしまったかもしれません。
こういったハルシネーションのような現象が問題になるのは、誤った情報をそのまま公開してしまう可能性があるからで、(おそらくそういう情報はすでに、かなりネット上にあふれていると思います)それは企業や個人の信頼性に関わる問題です。
またAIは過去のデータに基づいて生成を行いますが、文脈や状況に応じた「意味づけ」や「倫理的判断」はできません。心理診断やコンテンツは、「共感」や「温かみ」が重要な要素です。これらは専門家が作るコンテンツに自然に組み込まれる要素ですが、AIが生成した内容には、現時点では感情的な深みが欠けています。
心理診断や診断コンテンツでは、信頼性の問題として、専門家の洞察や経験に基づく細やかな解釈が必要不可欠です。AIが生成した情報をそのまま利用すると、データの信憑性や精度に疑問が残ります。
このような背景の中で、特定のジャンルに特化した専門性や専門家の存在意義はますます重要になっているのではないでしょうか。AI時代だからこそ、専門知識を持つ人間の目と判断力が必要とされていると思います。
診断コンテンツ制作の背景と価値
私が長年取り組んできた診断コンテンツは、ただのエンターテインメントではありません。企業や個人がウェブサイトやSNSでユーザーを引きつけ、関心を高めるための強力なマーケティングツールです。
理論の根拠は、独自の性格心理についての研究です。自己理解・他者理解、性格構造、深層意識等に関して、2000年から毎月、一般社会人を対象とした講座やセミナーを開催してきました。
診断コンテンツの制作には、実際に講座やセミナーを通じて得られた「生の声」が大きく影響しています。私は現在も、オンラインやリアル講座で、時代ごとに異なる人々の関心事や悩み、生き方、理想について語り合い、話し合う場を提供しています。
こうした対話の中で、世代間の価値観の違いや、経済的な問題に関する悩み、人生そのものへの問いかけなど、さまざまな意見が共有されてきました。これらのリアルな声を下敷きに、時代の変化を反映した診断コンテンツを設計しています。
このような背景があるからこそ、診断コンテンツはユーザーにとって単なる遊びではなく、自己理解や意思決定をサポートする実用的なツールになりうるのだと自負しています。
これからは、AIによる生成物があふれかえるからこそ、単にAIで生成されたものを使うだけでなく、「人の手が加わった高いクオリティと独自性」が重要になってくるはずです。その差別化が、企業やブランドの価値を高める鍵となるのではないでしょうか。
2025年に向けた提案とご相談について
2025年は、AIと人間のクリエイティビティを融合させ、より質の高いコンテンツを提供する時代になるはずです。私たちの専門領域である診断コンテンツの制作でも、AIの力を適切に活用しながら、人間ならではのセンスや洞察を取り入れていきます。
企業向けのサービスでは、以下のようなご相談を承っています:
- SNSやウェブ集客用の診断コンテンツの制作
- ユーザーの満足度を上げ、貴社の製品やサービスとのマッチングを高める提案
- AIを活用したコンテンツ制作の効率化とコスト削減
また、個人事業主や小規模企業向けのサービスにも今年は力を入れていきます。特に、診断コンテンツを使った集客やマーケティング戦略の構築に興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
最後に
AIが進化し続ける中、私たちの仕事のあり方やコンテンツの価値も変化しています。しかし、最終的に人々の心を動かすのは、「人が持つ感性やクリエイティビティ」です。今年も、この変化の時代に対応しながら、皆さまのお役に立てるようなサービスを提供してまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
合同会社パーソナリティ研究所 代表 中嶋真澄
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