大きなストレスがかかったとき
反応の仕方は人によって違う。
いきなりストレスフルな状態に置かれたとき
あなたはどんな心理状態になりますか?
コロナ感染が拡大し始めたころ、3月の末ごろ
ご自分がどんな反応をしたか覚えておられますか?
コロナ感染拡大のニュースによって
わたしたちは非常にストレスフルな状況に置かれました。
いまもなお感染拡大は続いており、
不安や不自由を抱えた日々ですが、
3月ごろと今とでは気持ちの持ち方も少し
違ってきたのではないでしょうか。
ここでは、3月ごろのように突然、予期しなかった
ストレスに見舞われたとき、
それは、ショックなことがあったときといっても
いいかもしれません。
そういうときに私たちの心のなかで生じる
心理的な反応についてのお話です。
同じようなストレスフルな状況に置かれたとき
反応はみな同じではありませんね。
その反応の違いを、
大きく三つに分けてみましょう。
ストレス時の反応 三つの傾向
ポジティブ・ネガティブ・クール
こんな人がいたかもしれません。
反応①「コロナ?
風邪みたいなものじゃないの、
まあ、大したことないんじゃない。
だいじょうぶでしょう、
そんなに心配しなくても」
という反応。
反応②「コロナ?
感染者の中に死亡者?
これは大変だ。かかったら絶対まずい、
どうしたらいいんだろう」
と深刻に受け止める。
反応③「ニュースになっているが、
どういうことなんだろう、
騒いでも心配してもしょうがない」
と、とくに慌てず、事態を見守る。
整理してみますと、
ストレスフルな状況に見舞われたときの
最初の反応には次の3つのパターンがある
ということです。
①ポジティブな見通しを持つ。
ストレスフルな状況での最初の反応が、
反応①のように、
「だいじょうぶなんじゃないか、
そんなに大変なことは起きないだろう。
なんとかなるだろう」
という楽観的な構えになる。
②感情がリアルに反応する。
ストレスフルな状況での最初の反応が、
反応②のように、
事態を深刻に受け止め
感情が波立ちじっとしていられない。
居ても立っても居られない
感じで動いてしまう。
③合理的な構えを持つ。
反応③のように
冷静でクールな構えを持つ。
ストレスフルな状況での最初の反応が、
反応③のように淡々としている。
淡々としてやるべきことを
やっていこうとする。
これらの反応の違いが葛藤を引き起こす。
あなた自身、またあなたのお仕事関係の人、
またご家族や友人の中にも、
この三つのタイプの人がいると考えられます。
コロナに関することでなくても、
仕事では社内的なこととか、業務において
何かトラブルや重大な問題が生じたとき、
このような、3つの反応がありうるわけです。
家庭内のことで何か問題を抱えたときにも、
夫婦間で、親子の間で、
反応の違いがあるかもしれません。
そうすると、どうなるでしょう?
お互いに自分の反応が”まっとう”だと
思っているわけです。
「こういう時に、どうして平気なの?」
「たいしたことないでしょうに、
なんでそんなに大騒ぎするの?」
「こんな時に、あなたは冷たい!」
楽観的な人は、周りの人たちが
騒ぎすぎると思っているかもしれない。
リアルに反応する人は、
楽観的な人に対しては
文字通り、楽観的過ぎると思うだろうし、
冷静に対処している人は、自分の感情を
表に出さないので、冷たい人と感じられる
かもしれない。
合理的な人は、楽観的過ぎるのも、違うし、
本気の反応をする人には、
なんであんなに騒いでいるのかと
思うかもしれないですね。
トラブル時に感情を表に出すことを
みっともないと思っている人も
いるかもしれません。
反応の違いを知っておくことが
複数の人と働くときにも役立つ。
この三つの反応というのは
どれがいいとか悪いとかの話ではありません。
人によってこのような反応の違いがあることを
知っておくことが大事だと思います。
そして、自分自身の反応の仕方には
弱点があるということも知っておきたいです。
あなた自身の強みと弱点は?
まず、①楽観的な見通しの人ですね、
楽観的な見通しは、たしかに必要かもしれない。
けれども、事態が深刻な場合、
事態の深刻さを見過ごす可能性があり、
対応が後手に回る、ということが考えられます。
よくパニック映画などでありますね、
とんでもない状況になっているのに
責任者が楽観的で事態に対処しようとしないで
状況がどんどん悪くなっていく。
ある場所に集まった人々が楽観的で
逃げ遅れる。
事態の深刻さを訴える人を一笑に付し、
これもまた対応が遅れる……みたいな。
つぎに、②本気で対処する人は、
事態を重く受け止め、
周りの人びとにそれを告げるが、
実際には大したことではないことで
騒ぎを大きくしてしまうことがある。
また、居てもたってもいられず、
考えなしに動いてしまい、
その動きは問題解決にはつながらず、
余計に周りをかき回してしまう
ことがあり得ます。
パニック映画では、最初に異変に気付くのは
こういう人かもしれませんね。
大騒ぎするけど、誰も信じてくれない。
また、事態を悲観しすぎて、
自らの身を亡ぼすような行動をしてしまう……。
③淡々としてクールな人には、
他者への共感に欠ける、という
問題がでてくるわけです。
同時に、ストレス状況下では
たとえクールで理性的な人であっても
じっさいにはストレスがかかっているわけです。
そこで、自分自身の感情を
ケアできていないという問題が
生じることもあります。
パニック映画などでは、問題解決にあたる
有能な技術者といった登場人物かもしれませんね。
非常に有能な人物として描かれる
事も多いでしょう。
その一方、人の気持ちに配慮せず、ただただ
問題解決のための行動をする。
自分の感情をケアできていなかったという
事の描写には、
問題解決した後、脱力して、
へなへなと倒れこむとか。
ポジティブ・リアル・クール
三つの反応は一人の中でも変化する。
さらにストレス状況が続くと、
一人の人の中でも最初の反応が
ずっと続くわけではなく、
変化していきます。
たとえば、最初は楽観的だった人も、
事態が長引く兆候が見え始めると、
だんだん不安が高まってくるかもしれません。
逆に、最初は悲観的だった人が、
だんだん理性的になり
冷静に事態を受け止めるように
なるかもしれません。
冷静クールに対処していた人が、
場合によっては悲観的になるかもしれないし
逆に楽観的になるかもしれない。
自分自身のなかで、
どのような変化が生じていたか
振り返ってみるのもいいですね。
ストレス時の三つの構えについて
自分自身がどういった反応を
しているかに気づけば、
何らかの困難な事態において、
必ずしも自分の見方がすべてではない
ということがわかります。
ポジティブ・リアル・クールの
三つの構えを持つことで、
最善の問題解決に向かおう。
もし、あなたがチームのリーダーで
あったなら、
また、家族のまとめ役であったなら、
楽観的にも、悲観的にも、淡々とした
態度にも偏らず、三つの構えを同時に
持っておきましょう。
ストレス時にも、誰かの反応や見方に
巻き込まれることなく、
うまく事態に対処していけるでしょう。
たとえば、周りがみな楽観視していても、
自分も同じように楽観視するだけではなく、
何が問題かを冷静に探っておくこと、
そして対処法を考えることが必要でしょう。
問題状況をキャッチできるように、
まわりに感情的な不安を抱えている人、
悲観的になりすぎている人、
ときにイライラや怒りをあらわにする人がいたら、
その感情を共感的に受け止めるだけで
相手の態度は違ってくるでしょう。
「心配だよね、不安だよね」
「腹が立つのは当たり前だよね」と
その感情を受け止めてあげるとよいでしょう。
相手はそれだけで少し
落ち着いてくるはずです。
ストレス時の反応
三つの構えについてお話ししました。
困難な状況においても
なお明るい見通しを失わず、
思いやりをもって、
自分自身また周りの人の感情のケアをしながら、
冷静に事態に対応し
直面している問題の解決を目指して、
目標達成に向けた行動をとっていきたいものです。
こういった内容をもとに
心理テストや自己診断コンテンツの制作を
しています。